徒然スマイル

海外生活、仕事について、等

大穴狙いはなし、育てる。

人も仕事も育てる

 

東京では上司を含め、同僚たちは私を一人前のビジネスパーソンとして扱ってくれまし

た。もちろん営業は初めてで学ぶことは沢山ありますが、数か月後には一人前になって

仕事を取ってくるという前提です。

その会社のそのポジションにいる人間として、扱いが一人前でした。

見下した言葉とか、お茶をいれるとか、お使いとか、そんな期待は全くありません。

一人前として数字を持ってくる責任があるだけです。

当時20代後半でしたが、30代、40代の先輩も数字を持ってくるという責任は同じ。

ただ、そのために基本的なことを教わる時間は充分貰えましたし、

上司は遠くからじっと、自分なり仕事をこなそうとする私を見守ってくれました。

歯痒い時もあったと思いますが、こちらから助けを求めるまで、

何も言いませんでした。

 

彼は時々、何人かの同僚に私の様子を聞いたり、

面倒見のいい同僚には、しばらくの間、少し私の面倒を見てほしいと言ってたよう

ですが、それは後で知った事でした。

そういうやり方で、育ててもらったんだと思います。

マイペースの私には、とても有難かったです。

その時間のお陰で、と後々になって思いました。

私には一番合ったやり方だと、上司は知ってたんだと思います。

 

振り返って後々思えば、彼はとてもいいマネージャーですが、

当時は、クマみたいに大きな外国人、物知りで、観察と細かい分析を好んで、

日本語も会社では話さないけどほとんど理解してるらしい、だって恋人は日本人、

とう風な感じで、気軽に近づきがたい存在でした。

 

私を例える時、

この子は何かをやり遂げようとしてる時、黙ってソワソワ下準備して、

そして確実にやる、そして育てる、こう言いました。

そこには、少しは途中経過を報告してもいいのに、という意味もあったよう

ですが、結果オーライでした。

ソワソワ準備、聞いて笑いましたが、恐らく見ていたら、そうだったと思います。

アポ、プレゼン、金額を提示する準備、ワクワクして他部署と調整しながら準備

しました。

彼がそういうのは、3か月後に大きな案件があるからと、その仕事を取るために

接待費用を要求する先輩たちと比較して全然違う、という意味もあったようです。

小さくても、仕事を取ってくるということを評価してくれたのです。

 

私はとにかく、小さな単発の仕事を頂き、それに満足してもらったお客様から

小さな規模のレギュラーの仕事をもらうというやり方をしていました。

このやり方で、着実にお客様を増やしていけましたが、

お客さんの最大の仕事のパートナーにはなれず、

一歩手前で足踏みしていた時期もあります。

このお客様、という代表顧客を取れずにいた時期です。

それでも、自分なりに考えていることはありました。

 

あの有名企業の仕事を頂けるという規模の仕事は、

年一回の入札時期を逃したら、また来年なのです。

ただ、そういう仕事を取るために、日系の同業他社たちは社長自ら営業しますし、

今期仕事をさせてもらってるところは、来期を他社に取られまいと死守します。

新規の企業が入り込むのは非常に難しく、まして、外資系企業が入り込む余地は、

ほぼ皆無ということも、当時はありました。

そもそも、入札にさえ呼んでくれない、という有名企業は多々ありました。

 

先輩たちは一発逆転狙いで、毎年こういうところを狙うのですが、

呼んでもらえる有名企業は数社。

当たると大きい大穴狙いですが、外すと何もなし、

勝つ業者より負ける業者のほうがはるかに多いのです。

 

どうしたら、勝てるのかな?

勝てない勝負にかけることはないじゃん。

 

大きな仕事は欲しいけど、私はそう思って見ていました。

そもそも、逆の立場になった場合、どうなんだろう?

 

実績がない業者に、大きな仕事を来期から、例えば3月31日までゼロのものを、

4月1日から全部任せる事ができるのかな?

私は正直、できないなと思っていました。

 

そして、実績がない業者に事を変える場合、

大きな理由は、値段が今よりはるかに安い、安いだけでは、新規業者には変えません。

そして、変えるきっかけとして考えられるのは、

現在の業者が、致命的な大きなミスをした、という場合です。

仕事の容量が増え、新しい業者を使わないと仕事が回らない、という良い理由も

考えられますが、そういう理由は滅多にありません。仕事量が増えても、

既存の業者は他の小さな仕事を落としてでも、その仕事を他社に渡さないからです。

 

そして、もう一つ、値段でとった仕事は値段で奪われるというのも感じていました。

では、どうしたら、せっかくのお客様を失わないですむか。

 

信頼、まずは認めてもらうこと。

業界最安値でなくても、ここならサービスがいいからと安心してもらえること。

こう自分なりに答えをもっていたので、大穴狙いは無しでした。

でも心には、大きなお客様が欲しいという思いもありましたし、

上司からも、そろそろ大きな良いお客さんが必要な時期だ、と言われました。

これは会社が予算を達成するため、の言葉ではなく、

大きな顧客を持つことで、営業として成長することができるし、

その必要があるという意味でした。それは自分でも理解していました。

 

どのお客様も大切とはいえ、大きな組織相手の仕事、大きな金額が動く仕事、

大人数が関わる仕事は、小規模の場合と異なり、想定外の事態や緊急事態の対応、等、

危機管理体制を整える必要などがありました。仮に損害となると、大きな金額になる

のです。色々考えると、正直ひるむところもありましたが、成長するためにも、

大きな仕事がしたいと思い始めました。

 

そして、それは、小さな一件の見積もり依頼から始まりました。

どうせもらえない仕事、冷やかしの見積もりだからと、

花型先輩が振ってきたのです。

私は、その会社がどんなポテンシャルを持っているのか知らなかったけど、

とにかく新しい案件と聞いて嬉しく、喜んで引き受けました。

その時こそ初めて、遠くから見て見ぬふりだった上司が強力に、バックアップして

くれた時でした。

でもその時は、急に眼を光らせてきた、クマのような大きな体の上司が、怖く感じてい

ました。指導というより、一つ一つ、私のやってることを指摘、訂正される、

と思ったのです。まだ、自分のスタイルに全く自信がない時でした。

 

今日はこの辺で。

読んでくださって、ありがとうございました。